知識と問いの違いとは?

 

―― AI時代、“考える人”に残される未来

「物知りな人」と「考える人」、どちらがこれからの時代に必要とされるのでしょうか?

かつては知識量がモノを言いました。「そんなことも知らないの?」という一言が、職場や学校で人の優劣を分けていた時代もあります。

でも、いまは違います。何でも検索できるし、AIに聞けば一瞬で答えが返ってくる。 だからこそ問われるのが、「問いを持てるかどうか」です。

 

知識は“答えのストック”、問いは“未来への入り口”

たとえば、知識は冷蔵庫の中の食材のようなものです。たくさんあれば料理はできるかもしれません。 でも、それだけでは食卓には何も並びません。何を作るかを考え、手を動かさなければ。

問いは、その「何を作るか?」を決めるレシピのような存在です。 つまり、知識は素材、問いは調理の起点なのです。

どんな問いを持つかによって、使う知識も、意味づけも変わります。

 

■ AIは“問いの意味”までは理解できない

AIに聞けば、歴史の年号も、病気の症状も、法律の条文もすぐに出てきます。 でも、「なぜそれを知りたいのか?」や、「本当にそれが知るべきことか?」という問いの本質には触れられません。

たとえば、AIに「この企画、もっと良くするには?」と聞いたとします。 すると、デザインを変えるとか、ターゲット層を見直すとか、色んなアイデアが出てきます。

でも、「そもそもこの企画は誰のため?」「その人たちは何に困ってる?」といった“問い直し”は、人間の役割です。

 

知識は「過去」、問いは「未来」をつくる

知識は、すでに誰かが得た“答え”の蓄積です。辞書や教科書にあるものですね。 でも、問いは「まだ誰も答えを出していないこと」。 つまり、問いがあるところに、未来があるのです。

たとえば、ある士業の先生が「契約書を正確に作れる」だけでなく、 「この契約、将来どんなリスクがあるか?」と考えられたら、どうでしょう。

その人は“単なる知識提供者”ではなく、“未来のトラブルを防ぐパートナー”として信頼されるはずです。

 

「問い」は、思考のスタートボタン

問いがなければ、思考は始まりません。 そして、問いがあるからこそ、知識が意味を持ちます。

私たちは、「何を知っているか」ではなく、「何を知ろうとしているか」で評価される時代に入っています。

たとえば、若手社員が「この資料の作り方、どうすればもっと伝わるか?」と聞いてきたら、どう思いますか?

ただ「作りました!」と言ってくる人より、ずっと“伸びしろ”を感じるはずです。 それは、「問いを持っている人は、成長する」からです。

 

まとめ:知識は埋もれる。問いが未来をひらく

情報は、誰でも手に入る時代。 だから、「知っているだけ」では埋もれてしまう。

でも、「問いを持てる人」には、必ず出番があります。 問いがあるところに、信頼される会話が生まれ、商品が生まれ、仕事が舞い込んできます。

そして、AI時代においても、“問いを立てられる人”が最後に残る。 それは、私たちが知識を超えて、「考える存在」であるからです。

あなたは、いまどんな問いを持っていますか? その問いこそが、あなたの未来を決めるのです。

執筆:鹿内節子

AIと共存するための思考法

 

―― 「使われる側」から「使いこなす側」へ

「AIに仕事を奪われる」と言われる時代に、私たちはどう生きるべきか。 それは、単にAIに抗うことでも、全面的に頼ることでもありません。 鍵は、“思考のポジション”を変えること。つまり、AIと役割を分けて共存することです。

その第一歩は、「思考の役割分担」を知ること。

 

■ AIは思考の“下位レイヤー”を得意とする

AIが優れているのは、大量の情報からパターンを見つけて要約したり、構造を整える作業です。 つまり、

  • 情報の収集と要約
  • 構成や表現の整え直し
  • 形式的なアウトプットの自動生成

こうした“思考の補助的工程”は、AIが急速に人間を上回りつつあります。

しかし、問題はここからです。

 

問われるのは「何を問うか」「何を残すか」

AIは与えられた問いに答えることはできますが、「何を問うべきか」は自分で決められません。 また、要約や編集ができても、それを“どの文脈で使うか”までは判断できない。

だからこそ必要なのが、人間の「選択力」――すなわち、

  • どの問いを立てるか?
  • どの情報を活かすか?
  • どう位置づけて意味づけるか?

これらの判断は、人間だけに許された領域です。

 

編集と要約も、最後は人間の仕事

たしかにAIは、文章を整えたり要点をまとめたりするのが得意です。 しかし、それは“文脈から切り離された形”での処理に過ぎません。

実際、AIがまとめた文章をそのまま出してしまうと、

  • 誤解を招く言い回し
  • 本質からズレたポイント強調
  • 事実誤認のままの記述

といった“精度のゆらぎ”が生まれます。

ここで必要なのが、「監修者」の視点です。 AIの成果物を点検、確認し裏どりをする。全体を俯瞰して確認し完成品に仕上げる。これらはまぎれもなく人間がする仕事です。また人々が信頼をよせる成果物と認められます。。

 

人間の役割:問い・違和感・価値判断

AIと共存するには、人間が上位レイヤーに思考を移す必要があります。 具体的には、次の3つが鍵です。

問いを立てる力  → AIに投げる質問の質が、得られる結果を左右する。

違和感を察知する力  → 「なんとなくおかしい」と気づく感性は人間だけのもの。

価値ある選択をする力  → 何を削り、何を残すか。誰に伝えるか。責任を取るのは常に人間。

 

共存とは、責任を持って「使いこなす」こと

AIを使いこなすとは、命令を出すことであり、判断を手放さないということです。 そしてそれは、単なる技術スキルではなく、「思考の構え」そのものでもあります。

AIが生成する情報の価値を決めるのは、私たち人間。 AIが書いた文章を、使える文章にするのも人間。

その意味で、AIとの共存とは、最終的に責任を持つ“編集者としての知性”を持ち続けることなのです。

いま、まさに私たちが実践しているように。 AIが骨格をつくり、人間が意味を選ぶ――この連携こそが、これからの知的生産のかたちです。

執筆:鹿内節子

AI時代の判断力とは、“記憶を編集して活かす”力である

AI時代の判断力とは、“記憶を編集して活かす”力である

―― AIにはできない、関連づけと意味づけの知性

私たちは「判断力」という言葉をよく使います。
でも、その正体を正確に説明できる人は、意外と少ないかもしれません。

判断力とは何か――
それは、記憶の中にある知識や経験を「関連づけて」「構造化しなおし」、いま必要なかたちに編集して使う力です。

たとえば、仕事のトラブルに直面したとき。
「これは前にも似たようなことがあった」と気づく人と、ただパニックになる人。
この差は、単なる“知識量”ではなく、“構造化して活かす力”の違いなのです。

 

記憶は「素材」にすぎない

記憶力がいい人は、「たくさん知っている人」と言えるでしょう。
でも、知っていることと、使えることは別物です。

たとえるなら、記憶はキッチンの食材。
判断力は、その食材を組み合わせて料理するセンスです。

何をどの順番で使うか。どの味付けをするか。
いまの状況に合った“意味づけ”と“関連づけ”ができるかどうかが、判断力の本質です。

 

構造化とは、つなげて意味をつくること

構造化とは、バラバラの情報を「関連づけて整理する」作業です。

  • これは過去の何と似ているか?
  • 今回のケースと、前の失敗は何が違うか?
  • この情報は、どこに位置づけられるのか?

このような問いを立てながら、頭の中で地図をつくるように情報を並び替える力
それが「構造化する力」です。

この編集センスは、マニュアルでは教えにくく、経験と意識的な思考トレーニングでしか磨かれません。

 

■ AIには、違和感を感じる力がない

近年、AIが大量の情報を処理し、驚くような分析結果を出してくれるようになりました。
でも、だからこそ求められているのが、人間の“判断力”です。

AIは、ルールに基づいた予測や選別は得意です。
しかし、「何かがおかしい」「前と似てるけど違う」といった**“違和感”を感じ取る力はありません**。

人間の判断力は、単なるロジックの積み重ねではなく、空気や背景、言葉にされていない文脈を読む知性でもあります。
だからこそ、職場でのトラブル対応、チーム内の摩擦、リスクの兆候察知など、「人が介在すべき領域」は消えないのです。

 

「記憶を活かす力」は、訓練できる

判断力は、天性のものだけではありません。
「これはなぜこうなったのか?」と問い続ける習慣が、判断力を育てます。

  • 会議の空気が重かった理由は?
  • 失敗した案件の根本原因は?
  • 相手が納得しなかったのは、どの言い回しが悪かったのか?

こんな問いを、自分に投げかけてみてください。
やがて、頭の中で経験と知識がつながりはじめ、「考えたことがある問題」には強くなっていくのです。

 

あなたの編集センスが、価値になる時代

これからの時代は、「AIにできないこと」が、私たちの存在理由になります。
その筆頭が、記憶を構造化して判断する力

表に出ない“気配”を感じ取る。
人間関係の微妙な空気を読み取る。
過去と今をつなげて、ちがう未来をつくる。

この“編集センス”は、誰かに与えられるものではありません。
あなたが日々、観察し、問いを持ち、つなげることで育っていきます。

「記憶をどう活かすか?」
それが、AI時代を生き抜く人間の知性――「判断力」の正体です。

執筆:鹿内節子

AIが奪うのは、仕事か? それとも「役割」か?

AIが奪うのは、仕事か? それとも「役割」か? 〜AmazonとMicrosoftの決断が示す未来〜

「AIで人がいらなくなる」と聞いたとき、どんな未来を想像しますか? それは、仕事そのものがなくなるのか、それとも私たちの“役割”が変わるだけなのでしょうか。

2025年6月、AmazonとMicrosoftから発表されたニュースは、この問いにリアルな輪郭を与えてくれました。

 

 AIで「仕事」が減るという現実

米AmazonのCEO、アンディ・ジャシー氏は従業員向けの書簡で、AIによる社内効率化を背景に「今後数年で管理部門の従業員数が減る見通し」と明言しました。

Amazonは社内でも、AIが業務を代行する“エージェント機能”を積極的に活用しています。もはや現実として、AIによる業務代替が始まっているのです。

一方、Microsoftでは、2025年5月に米ワシントン州の本社で2000人の人員削減が行われ、そのうち4割がプログラミング関連のエンジニアでした。AIが得意とする分野に人間の居場所がなくなりつつある──そんな印象を与える出来事でした。

 

一方で、“AI人材”には億単位の報酬

対照的に、AIエンジニアの争奪戦は加熱しています。

OpenAIのCEO、サム・アルトマン氏は、Meta社がOpenAIの社員を引き抜くために「1億ドル(約145億円)の移籍金」を提示したことを明かしました。実際、MetaはGoogleの著名研究者を獲得しており、まるでプロスポーツ選手のような人材獲得合戦が繰り広げられています。

つまり、「AIで仕事が減る」だけではなく、AIを使いこなす“上流の役割”には、逆に莫大な価値がついているのです。

奪われるのは「作業」か「役割」か?

ここで一つ、重要な問いが立ち上がります。

── AIが奪うのは「仕事」なのでしょうか? それとも「役割」なのでしょうか?

AmazonやMicrosoftの事例を見る限り、AIが代替するのは「繰り返し可能な作業」や「手順化できるタスク」が中心です。

一方で、AIを設計する人、使い方を定義する人、意味づけを行う人はむしろ求められている。

この構図は、私たちに「どの領域に立つか?」という問いを投げかけてきます。

まとめ

AIに仕事を奪われた人と、AIで価値を生み出す人。 両者の差は「才能」ではなく、「立ち位置」と「役割の設計」にあるのかもしれません。

執筆:鹿内節子

「言葉にしきれないもの」を、どう伝える?

「言葉にしきれないもの」を、どう伝える?
──テキスト全盛時代に、“人間にしかできない表現”とは

 

◆ テキストだけで、本当に伝わっているのか?

「ちゃんと伝えたはずなのに、伝わっていなかった」
こんな経験、ありませんか?

私たちはときに、文章だけで伝えたつもりになってしまいます。
でも、現実には、声のトーンや間、図の工夫、空気感──
そういった言葉にならない情報が、理解や共感に深く影響しているんですよね。

文章では届かないもの。
それが、今の時代、かえって人間らしさを残すカギになるかもしれません。

 

◆ AIは「言葉」しか見ていない

最近は、「AIでも書けそうな文章」が溢れています。
でもよく考えてみてください。
AIが読み取っているのは、あくまで“テキスト情報”だけです。
それ以外のニュアンス、空気感、余韻のようなものは、まだ苦手。

つまり、AIは「何を言っているか(内容)」には強くても、
「どう伝えるか(表現)」には限界があるんです。

文章の構造や語彙のパターンは真似できても、
その背後にある人間の迷いや、間の取り方、声の抑揚までは再現できない。

だからこそ、私たちには、“人間にしかできない伝え方”を磨く価値があるのです。

 

 

◆ 「声」「図解」「構成」は、人間の武器

たとえば──

  • :抑揚、間、テンポ。話し手の想いがにじむ
  • 図解:言葉よりも、一目で伝わる情報設計
  • 構成:どう話を運ぶかという、“伝える順番”のデザイン

これらは単なる技術ではなく、“伝える”から“伝わる”へ進化させるための人間的センス

情報があふれる時代だからこそ、こういった手ざわりのある伝え方が、差になります。

 

◆ “スライド+音声”という、ちょうどいい伝え方

私は今、「パワポに声をのせる」というシンプルな方法に注目しています。
文章ほど時間はかからず、動画編集ほど大がかりでもない。
でも、声と図が合わさることで、記憶に残るんですよね。

スライドに想いをのせて話すだけで、「あ、この人の声、いいな」「話がわかりやすいな」と感じてもらえる。
それがAIにまねできない、“人間の余白”です。

 

◆ テキストだけに頼らないために

AIと共存するこれからの時代、私たちに求められるのは
「情報の再現性」よりも「表現の共感性」かもしれません。

話すのが苦手でもいいんです。
聞く人に届く形を設計するだけで、伝え方は変わります。

 

◆ スライドに、あなたの声をのせてみませんか?

私はこの方法を、初心者向けにわかりやすくまとめました。
「話すのは苦手だけど、伝えたいことがある」
そんな人にこそ、やってほしいやり方です。

執筆:鹿内節子

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なぜ情報を集めても動けないのか?

 

セミナーには行った。ノートもとった。SNSで自慢げに写真も上げた。
でも、何も変わっていない。

そんな“知ってるだけ”の人が、今の時代には大量にいる。
しかも、本人は「学んでいる」と信じているから、やっかいだ。
この文章にうなずくあなたがいたら、もう安心していい。
気づいているだけ、まだましだから。

情報収集は、安心のための“お守り”だった

人は不安になると、つい情報を集めたくなる。
これは悪いことではない。人間の防衛本能として正しい反応だ。

でも、問題はそこからだ。
集めすぎると、「もっと知ってから」「もう少し準備してから」という言い訳が増えていく。

結果、「まだ足りない」と思い込んでしまい、
行動はどんどん先送りにされる。
こうして「知識はあるけど、動けない人」が誕生する。

 捨てた情報が、あなたの指針をくれる

情報って不思議なもので、捨てたときに見えてくるものがある。
つまり、取捨選択ができて初めて、自分の指針になるということ。

物の断捨離と同じで、
「何が必要か?」よりも「何を手放すか?」を決めることで、自分の価値観が浮き彫りになる。

そのプロセスを経て、ようやく「自分に必要な情報」と「自分を惑わせる情報」が分かれてくるのだ。

 

情報は行動の燃料、ガソリンを貯めるだけでは走れない

情報は“燃料”でしかない。
いくら高品質なガソリンを満タンにしても、エンジンを回さなければ車は走らない。

つまり、どんなに良い情報でも、
行動に使わなければ、ただのメモリの肥やしになる。

そして、実際に行動してみるとわかる。
「ああ、この情報、いらなかったな」
「これは今の自分に必要なことだったな」
その実感こそが、あなたの“知恵”になる。

 

まとめ:

行動でしか「情報の価値」はわからない

たとえば、あなたがいま「やろうか迷っていること」があるなら。
手元の情報を一度ぜんぶ閉じてみてほしい。
そして、1つだけ選んで、まずやってみる。

動いたその一歩が、
「使える情報」と「いらない情報」を分けてくれる。

情報は、動いて初めて意味がある。
知ってるだけの自分と、やってみた自分。
どちらが、自分を変えてくれるだろうか?

執筆:鹿内節子

 

教えるとは何か?教えない技術とは?

「教えたのに、伝わらない」──これは、どの教師も一度は味わう痛みだ。
かつての私もそうだった。丁寧に説明して、資料もつくって、相手の目も見ていたはず。
それなのに返ってきたのは「で、つまりどういうことですか?」という無慈悲な一言。

いや、伝わってないじゃん。

 

でも、もっとショックだったのは、「教えた」という達成感を持っていたのが自分だけだったこと。
相手の思考が止まっていたことに、気づいていなかった。

正直に言えば、「教えること」が自分の安心材料になっていたのだ。
説明=仕事した感。
わかったように話す=プロっぽさ。
でも中身は、相手が自分で考える余白を潰す「優しすぎる暴力」だったのかもしれない。

 

「教えない技術」というと、かっこよく聞こえるが、現実はそんな華やかなものじゃない。
それは、ただの「沈黙に耐える技術」である。

黙って待つ。
目の前で生徒が迷っている。言葉が出ない。わかってない顔。
それでも待つ。
心の中で「ちょっと、誰か答えてくれ」と叫びつつ、口を閉じて待つ。
(ヨガの修行みたいだ)

 

教えすぎは、生徒の伸び代を奪うことがある。
答えを言えばその場はスムーズ。でも、そこに「考えた痕跡」は残らない。

じゃあ、なぜ先生たちはすぐに教えたがるのか?
それはね、「教えないと仕事をしてないように見える」から。
「説明できる=優秀」だと信じてるから。
そして何より、沈黙が怖いから。

かつての私もそうだった。
講師として沈黙が続くと、「説明が下手だと思われるんじゃないか」と不安になった。
だから先回りして教えてしまう。
でも、それでは生徒の中に「自分の言葉」が育たない。

 

本当に大事なのは、生徒が自分の言葉を持つこと。
そのプロセスを待てるかどうか。
これは、教えるよりずっと難しい。

でも、それを乗り越えて「自分で答えを出した」瞬間の生徒の表情は、何ものにも代えがたい。
その一瞬を信じて待てるかどうか。
そこに、本当の「教えない技術」がある。

 

まとめ

  • 「教えた感」は自分の安心であって、相手の理解とは別問題
  • 教えない技術とは、黙って待つ勇気である(修行です)
  • 生徒が考える時間=成長の時間
  • 沈黙が怖いなら、それは先生自身が不安な証拠
  • 引き出すことは、教えることより深い信頼

執筆:鹿内節子

 

ブログ10周年リニューアル カテゴリ方針

ブログ10周年リニューアルとして方向性の見直しをしました。

そして第2形態スタートしました。

カテゴリを整理し再編しました。

カテゴリ方針について(2025年リニューアル時)

ブログの再編にともない、以下の2つのカテゴリは過去の成長記録として保存し、今後は新規投稿を行わない方針としました。

0円出版スクール

発信初期に取り組んだ、出版をゼロ円で実現する試みの記録です。現在は別のステージで活動しているため、この記事群はアーカイブとして保存しています。

鹿内’eye

自由な視点で綴った初期のエッセイ記録です。現在はより構造化された思考・問いを軸に記事を展開しています。新しいスタイルへの移行に伴い、更新は終了しました。

この方針変更のお知らせを「運営情報」記事として投稿し、今後は読み応えのある「問い型ブログ」へ進化させていく予定です。

執筆:鹿内節子

 

コンテンツを資産にする作り方 〜流されない発信の設計術〜

一生懸命つくった記事や動画は、なぜすぐに消えてしまうのでしょうか?

答えはシンプルです。
今のネット社会は、「流れる」構造が基本だからです。

SNS、YouTube、ブログ──
次から次へと、新しい情報がアップされ、古い情報は埋もれていく。
読者はスキマ時間に斜め読み。流し読みが当たり前。
「保存するほど価値がある情報」は、ごく一部しか残らないのです。

 

情報が消耗品になっているのは、読者だけのせいではありません。

①プラットフォームの構造

多くの発信プラットフォームは「速報・トピック型」。
バズれば勝ち、反応が数字になる。でもそれは一瞬。
次の流行がきたら、即座に塗り替えられてしまいます。

②読者の習慣

読者も「新しさ」に慣れすぎています。
思考ではなく、反射でコンテンツを消費しているのです。

③発信者側の設計不在

・とりあえずネタを出す
・整理されていない
・体系になっていない
・一発勝負のコンテンツ設計

これでは、どんなに力を注いでも「消耗して終わり」になります。

【では、どうすれば「積み上がる発信」になるのか?】

答えは一つ。
「素材が残る発信設計」をすること。

【解決の考え方:積立型設計のコア】

方法説明
問い型で出発する「何が課題か?」という問いから始める
抽象度を高める一時的な流行を超えて通用する視点に
骨子積立方式毎回5ブロックで構成するフォーマットを固定
再利用前提設計記事 → Kindle → PDF → 教材へと展開可能な構造に
資産ノートを作る骨子・素材・問いをすべてストックしておく

【まとめ】

情報があふれる時代、「問い」から出発し、「考え方」を積み重ねていくことが、
唯一、流されないコンテンツ資産を作る道です。

出すことを目的にせず、
「育てて使い回す」前提で設計すれば、資産は残ります。

あなたの知的労働を、
流して終わる「コンテンツ」から
積み上げて残る「知的資産」へ。

それが、静かな情報発信者の、生存戦略です。

 

執筆:鹿内節子|AI時代の知的資産を静かに積み上げる富士山型ブログを運営中

問いを立てる力の鍛え方 〜AIにはできない人間の思考スキル〜

AIの発達により、私たちは驚くほど短時間で答えにたどり着けるようになりました。チャット型のAIに質問すれば、瞬時に情報を整理し、要点をまとめ、概要まで作成してくれます。これまで人間が数時間かけていた仕事を、ものの数秒で片付けてしまう時代です。

しかし、ここで見落としてはならない前提があります。
AIは「質問されれば答えるが、何を質問するべきかは決めてくれない」ということです。

つまり、AIの優れた能力は「問い」を前提に発動しているのです。何もないゼロの状態では、AIは動こうともしません。あくまで「問い」が与えられることで、はじめてAIはその力を発揮します。

 

問いは常に人間から始まる

そもそもビジネスの世界は「問い」に満ちています。会社の仕事も基本は課題解決の連続です。商品販売もまた、ユーザーの困りごとを解決するための提案です。「お客様は今、何に困っているのか?」という問いを立てることが、そもそも商売の出発点になっています。

研修や学習の現場でも同じです。講師が「質問はありませんか?」と尋ねた時に、質問を出せる人は、単に理解している人ではなく、自分の中で課題を見つけようとしている人です。
日々の仕事の中でも「なぜここに毎回時間がかかるのだろう?」「なぜ同じミスが繰り返されるのか?」と考えられる人は、自然と成長していきます。

 

問いを立てない人が最も危うい

一方で、問いを避けようとする人たちもいます。
「めんどくさいことは言わないほうがいい」「波風を立てたくない」「余計なことを考えたくない」── こうして疑問を封じ込め、現状維持を選ぶ思考です。

もちろん、日々の仕事で穏便に過ごす工夫としては一理あります。しかしこの姿勢こそが、AI時代には最も危うくなるのです。

なぜなら、現状維持しかできない仕事ほど、AIに代替されやすいからです。
言われたことをそのままこなす、決められた作業だけを繰り返す、そうした仕事はAIが得意とする領域です。疑問を持たず、自ら問いを立てない人ほど「AIに使われる人」になってしまいます。

 

なぜ問いを立てる力が重要なのか

AIは、既に蓄積された情報を整理し、選択肢を提示することは非常に得意です。しかし「そもそも何が問題か?」という問題設定そのものを生み出すのは、まだ人間の役割です。

つまり、思考する力の出発点は常に「問い」にあるのです。

 

問いを立てる力の鍛え方 〜5つの練習法〜

では、問いを立てる力はどうすれば鍛えられるのでしょうか。実は特別な訓練は必要ありません。日常の中で静かに練習できます。

方法説明
① なぜ?を繰り返す表面的な答えの奥に踏み込む癖をつける
② 前提を疑うそもそも前提は正しいのか?と考える
③ 立場を変える他の人なら何を問題視するだろう?と想像する
④ 長期視点で問う5年後・10年後でも意味がある問いか考える
⑤ 自分の興味と悩みから出す身近な疑問を問いに育てる

これらは日々の仕事や生活の中で少し意識するだけで実践できます。難しく考えず、「あれ?」「なんで?」と自分に問い返す習慣を持つことが重要です。

 

まとめ 〜問いは資産になる〜

AI時代は、単に答えを探す力ではなく、「問いを立てる力」こそが生存戦略になります。
どんな小さな疑問でも、自分で問う練習を積み重ねていくことが大切です。

問いは資産です。考え続ける人が、AI時代でも静かに生き残っていきます。

 

執筆:鹿内節子|AI時代の知的資産を静かに積み上げる富士山型ブログを運営中